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Guide · 物理層・配線

光ケーブルと端子の基礎

光配線は『コネクタの形』『ファイバの種別』『トランシーバの速度』『端面研磨』という独立した4つの軸の組み合わせで決まります。SC/LC とは何か、マルチモードとシングルモードはどう違うのか、SFP と SFP+ は何が違うのか——よくつまずくポイントを、距離と用途から逆算して選べるところまで一気に整理します。

更新 2026-06-12/7/光ケーブル · 光ファイバ · SC コネクタ · LC コネクタ
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光ファイバの種類 — マルチモードとシングルモード

光配線でいちばん最初に決まる、もっとも根本的な違いがファイバ(ガラスの芯)そのものの種別です。光が通る中心の「コア」の太さで、マルチモードシングルモードの2種類に分かれます。「モード」とは 光の通り道(伝搬経路)のことです。

マルチモード(MM / Multi-Mode)

コアが太い(50µm または 62.5µm)ため、光が複数の経路で同時に進みます。 経路ごとに到達時間がわずかにズレる(モード分散)ため、距離が伸びるほど信号が劣化します。 光源は安価な LED / VCSEL でよく、トランシーバが安いのが利点です。 被覆色は通例、水色(OM3)・アクア/紫(OM4)・ライムグリーン(OM5)。 データセンタ内や同一建物内など近距離向けです。

規格コア径被覆色(通例)10G の距離目安
OM162.5µmオレンジ~33m
OM250µmオレンジ~82m
OM350µm水色(アクア)~300m
OM450µmアクア/紫~400m
OM550µmライムグリーン~400m+(多波長 SWDM 対応)
数字が大きいほど高性能・長距離・新しい。新規配線は OM3 以上が基本。

シングルモード(SM / Single-Mode)

コアが極細(約 9µm)で、光が1本の経路だけで直進するため分散が小さく、 長距離・高速でも劣化しにくいのが特徴です。光源に高精度なレーザーが必要でトランシーバは高価。 被覆色は通例黄色。建物間・キャンパス間・WAN・通信事業者の幹線などに使います。

規格用途距離目安
OS1屋内・構内~10km
OS2屋外・長距離幹線~40〜100km 級

MM と SM は相互接続できない

外径(クラッド 125µm)は両者とも同じですが、中心のコア径が全く違います。 そのため見た目のサイズが似ていても中身は別物で、マルチモードとシングルモードを混在させると 光がまともに通りません。両端は必ず同じ種別で揃えます(MM 同士でも 50µm 系と 62.5µm 系は混ぜない)。
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光コネクタの形状 — SC と LC

SC と LC はどちらも、光ファイバの端を機器につなぐコネクタ(端子)の形状規格です。 LAN ケーブルでいう RJ45(爪付きの差込口)にあたる部分で、ファイバそのものではなく 「つなぎ口の型」を指します。

項目SCLC
正式名称Subscriber ConnectorLucent Connector
フェルール径2.5mm(大きい)1.25mm(SC の約半分)
挿抜方式プッシュプル(押し込む)ラッチ式(RJ45 に近い感触)
実装密度低い高い(機器に多数並ぶ)
主な用途旧来機器・ONU 等スイッチ/サーバ/SFP が主流

ポイントは、LC のほうが小型で高密度なこと。近年のスイッチや SFP/SFP+ トランシーバは ほぼ LC です。SC はやや古い機器や光回線終端装置(ONU)で今も見かけます。 40G/100G 以上の高密度配線では、複数芯を一括する MPO/MTP コネクタも使われます。

端面研磨(UPC / APC)はコネクタ形状とは別の軸

コネクタには端面の研磨という第3の軸があり、UPC(青)APC(緑)があります。 APC は端面を斜めに研磨して戻り光に強く、主にシングルモードで使われます。青(UPC)と緑(APC)は混ぜて挿さないこと——端面角度が違い、接続損失が大きくなります。
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トランシーバ — SFP と SFP+

SFP(Small Form-factor Pluggable)は、スイッチやサーバのスロットに挿して光信号と電気信号を変換する抜き差し式モジュールです。SFP+ は同じ形・サイズのまま速度を強化した上位版で、最大の違いは対応速度です。

SFPSFP+
主な速度1Gbps(1000BASE)10Gbps(10GBASE)
形状・サイズ共通共通(SFP と同じ)
互換下位互換あり(1G SFP を挿せる場合が多い)
スロットは物理的に共通だが、互換は下位方向のみ。1G スロットに 10G モジュールは基本挿さらない。

速度が上がるごとに名前が変わり、形状も少しずつ大型化します。SFP28 までは SFP+ とほぼ同じ大きさですが、 QSFP 系からはスロット形状が別物になります。

名称速度備考
SFP1G基本形
SFP+10G本記事の主役
SFP2825GSFP+ とほぼ同サイズ
QSFP+40G4 チャンネル束ね・大型
QSFP28100G大型
QSFP-DD / OSFP400G〜データセンタ向け

モジュールはファイバ種別ごとに別製品

SFP/SFP+ はマルチモード用とシングルモード用で別製品です。型番末尾のサフィックス (SR / LR など)が種別と距離を表すので、ここを見れば判別できます。

記号ファイバ波長距離目安(10G)
SRマルチモード850nm~300m(OM3)/400m(OM4)
LRシングルモード1310nm~10km
ERシングルモード1550nm~40km
ZRシングルモード1550nm~80km
LRMマルチモード1310nm~220m(旧来 MM 救済)
覚え方:SR=マルチモード(近距離)、LR 以降=シングルモード(長距離)。1G では SX(MM)/LX(SM)。

光を使わない選択肢:DAC

ラック内の短距離をつなぐなら、メタルケーブル直結の DAC(Direct Attach Cable)が安価で、 特に SFP+ でよく使われます。トランシーバとケーブルが一体になっており、光モジュールが不要です。
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4つの軸は独立している(関係の整理)

ここまでの要素はそれぞれ独立した「軸」で、直接の依存関係はありません。 「SC のシングルモード」も「LC のマルチモード」もすべて存在します。用途(距離・機器・予算)に応じて 自由に組み合わせて選定します。

選択肢何を決めるか
コネクタ形状SC / LC(他に MPO 等)差込口の型・実装密度
ファイバ種別マルチモード / シングルモード伝送距離とコスト(起点)
トランシーバSFP / SFP+ / SFP28 …通信速度
端面研磨UPC(青)/ APC(緑)反射特性

ただし、接続する両端は必ず各軸を揃える必要があります。組み合わせは自由でも、 対向同士で食い違ってはいけません。

両端で揃える・混在させない

  • ファイバ種別:MM↔MM、SM↔SM。MM と SM の混在は不可(コア径が違う)。
  • コネクタ形状:SC↔SC、LC↔LC。SC↔LC は変換アダプタ/ハイブリッドパッチが必要。
  • トランシーバ:両端を同じ規格(SR↔SR、LR↔LR)で。ファイバ種別とも一致させる。
  • 端面研磨:UPC↔UPC、APC↔APC。青と緑を混ぜない。
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用途別の選び方(早見表)

ファイバ種別を起点に、距離・用途から逆算すると迷いません。流れはこうです。

  1. 距離を決める → 数百 m 以内ならマルチモード、それ以上ならシングルモード
  2. ファイバ種別が決まる → MM(水色/緑)か SM(黄色)
  3. 種別に合うモジュールを選ぶ → MM なら SR、SM なら LR / ER / ZR
  4. 両端を同一型番で揃える(速度・波長・距離・コネクタ LC まで一致)
使う場所推奨ファイバ被覆色組み合わせコネクタ
サーバラック内・同フロアOM4(MM)アクアSFP+ SRLC
同建物のフロア間OM3/OM4(MM)水色SFP+ SRLC
建物間・キャンパスOS2(SM)黄色SFP+ LRLC
数十 km 先の拠点OS2(SM)黄色SFP+ ER/ZRLC

より細かい規格値(Cat ケーブル、PoE、MPO ピン配置、25G/100G/400G 光モジュール、コンソール/シリアルなど)は、 現場リファレンスの ケーブル・コネクタ仕様書 にまとめています。本記事で全体像をつかんだら、そちらで個別の数値を引いてください。

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よくある質問

Q. SC と LC はどちらを選べばよいですか?
現在のスイッチや SFP/SFP+ トランシーバはほぼ LC です。小型で高密度に並べられるためです。SC は旧来の機器や光回線終端装置(ONU)で見かけます。新規ならまず LC を基準に考え、機器側の差込口に合わせて選びます。
Q. マルチモードとシングルモードのファイバは混在できますか?
できません。マルチモード(コア径 50/62.5µm)とシングルモード(コア径約 9µm)はコア径も使用波長も異なるため、接続しても光がまともに通りません。両端は必ず同じ種別で揃えます。マルチモード同士でも 50µm 系と 62.5µm 系は混ぜないのが原則です。
Q. SFP スロットに SFP+ は挿せますか?
互換は下位方向のみです。SFP+(10G)スロットに SFP(1G)を挿すと多くの機器で 1G として動作しますが、逆に SFP(1G)スロットへ SFP+(10G)を挿しても基本的にリンクしません。機器のデータシートで対応を確認してください。
Q. ケーブルの色で種別は見分けられますか?
おおむね見分けられます。被覆色は通例、シングルモードが黄色、マルチモードが水色・アクア・緑(OM3/OM4/OM5)です。コネクタ色は研磨を表し、青が UPC、緑が APC です。ただし色は規格上の慣例なので、最終的には型番・刻印で確認します。

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