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Guide · 運用・トラブルシュート

光リンクのトラブルシュート手順

光リンクの障害は『とりあえず全部交換』ではなく『測って当てる』のが速い。まず CLI で DOM/DDM を読み、必要なら手元で活線確認 → 光パワーメータで損失(dB)を測り、清掃と VFL で原因を絞り込む——この流れを各ステップ『やること』単位で短くまとめます。詳しいコマンド表や機材の選び方は、各ステップの『さらに詳しく』から専用ページへ。

更新 2026-06-21/8/光リンク · トラブルシュート · DOM · DDM
01

全体像 — 「測って当てる」4ステップ

光はメタル(イーサ)と故障モードが違います。最大要因は『断線』ではなく端面の汚れ・コンタミで、 原因が 送信(SFP)・経路(ファイバ/コネクタ)・受信・光以外(設定) のどこにあるかが見えにくい。 だから「とりあえず全部交換」ではなく、測定値で原因を絞るのが速い。

1読む (DOM)2測る (OPM)3清掃 (VFL)4特定 (交換)

3つの原則

  • 触る前に読む — 抜く=端面を汚すリスク。まず CLI の DOM で済むなら抜かない。
  • 絶対値でなく損失(dB)で見る — Tx − Rx = リンク損失。基準は SFP のデータシート。
  • 変えるのは一度に1つ — 直っても原因を必ず記録(再発時の資産)。

以下は各ステップの“やること”だけをまとめた早見です。困りごとから直接引きたいときは 次の「症状・目的から引く」表へ。コマンド表・機材選び・各ツールの詳説は、カード下の「さらに詳しく」から専用ページへ。

02

症状・目的から引く(早見)

「いま何をしたいか/どんな症状か」から、使う道具と進む STEP を引けます。各行のリンク先で具体手順を確認してください。

やりたいこと・症状まず使う道具見るポイント / 進む先
どのポート/ケーブルに通信(データ)が来ているか知りたいFiberLert(活線検出)露出端・オープンポートで光の有無(GO/NO-GO)→ STEP 0+
複数ケーブルのうち対向先がどれか分からないVFL(赤色光)/ FiberLert暗芯に VFL 注入 → 対向端で赤く光る1本を特定 → STEP 2
光の送信・受信が正常か知りたい機器コマンド(DOM) + OPMTx範囲・Rx感度・損失(dB) → STEP 0/1 → 判断マトリックス(STEP 3)
自分の Tx は正常なのに対向の Rx だけ低い清掃キット → OLS+OPM / VFL清掃で直る? 残れば区間の減衰測定・損傷可視化 → STEP 2
光レベルは正常なのにリンクしない機器設定の確認種別/波長・極性・duplex・config → STEP 3 の「光以外」
まず STEP 0(DOM)で全体を読み、症状に応じて 0+/1/2 に分岐、最後に STEP 3 で原因を当てるのが基本動線。
03STEP 0

CLI で DOM/DDM を読む

いまの SFP/SFP+/QSFP はほぼ DOM/DDM(デジタル光モニタ) 対応で、スイッチから Tx 出力・Rx 受光ファイバを抜かずに読めます。ここが切り分けの起点です。

まず用語の整理。光リンクは2 本のファイバで、Tx送信Rx受信A-Tx は「Switch A が送る光」、B-Rx は「Switch B が受ける光」という意味です(下図)。

Switch ASFP-A
A-Tx送信B-Rx受信
A-Rx受信B-Tx送信
Switch BSFP-B
A-Tx(A の送信)が B-Rx(B の受信)を、B-TxA-Rx を養う。つまりどちらの Rx が低いかが、壊れている「方向」を指す。
  • 両端のスイッチで Tx/Rx を読む(Cisco: show interfaces transceiver detail)。 他ベンダーのコマンドは「さらに詳しく」へ。
  • 光は2芯で方向ごとに独立。両端の Rx を並べ、低い側が壊れている「方向」を指す。
  • DOM は校正器ではない(ベンダー差 ±数dB)。きわどい値は STEP1 のメータで裏取り。
観測(両端を読む)示すもの次の手
A-Tx が低い/無光A の SFP 送信不良A の SFP 交換
A-Tx 正常・B-Rx が低いA→B 方向の経路損失清掃 → 再測定 → パッチ交換
両 Tx/Rx 正常・無リンク光は問題なし光以外(STEP3 へ)
反対方向(B-Tx→A-Rx)も同じ表で読む。どちらの Rx が低いかが故障方向を指す。
全ベンダーのCLIコマンドと両端の読み方を詳しく
04STEP 0+

活線・通信の有無・ケーブルを手元で特定(差す/覗く前に)

このポート/ケーブルに通信(データ)の光が来ているか」を手元で確かめたいとき——ライブファイバ検出器(端面検出型・例: Fluke FiberLert(FIBERLERT-125))を露出端やオープンポートにかざすと、光の有無を光と音の GO/NO-GO で知らせます。 ※ Amazon アソシエイトのリンクを含み、購入で当サイトに収益が入る場合があります。

Fluke Networks FiberLert(FIBERLERT-125)本体FiberLert(FIBERLERT-125)でファイバ端/ポートの活線を確認する使用イメージ
Fluke Networks FiberLert(FIBERLERT-125)
  • 通信が来ているポート/ケーブルの判別:外したパッチコード端やパッチパネルのオープンポートを スイープし、実データの光が出ている=活線のものを特定(ラベル不一致でも見つかる)。
  • 安全確認:覗く・機器や OPM に挿す前に活線を確認(レーザー被曝・活線挿入の防止)。
  • 極性(Tx/Rx):外した端で、デュプレックス対のどちらに遠端の光が来ているか判定。
  • 注意:両端が刺さって稼働中のリンクを在線では読めない(露出端/オープンポートが要る・ 在線識別はクランプオン式の識別器)。点灯=活線、無点灯≠無光(確定は DOM/OPM で裏取り)。
FiberLert の仕組み・仕様・識別器との違いを詳しく
05STEP 1

光パワーメータで測る

DOM が無い・信用できない・区間を切り分けたいときは、光パワーメータ(OPM)で実測します。 見るのは Tx・Rx とその差=損失(dB)

  • Tx 出力 はデータシートの送信範囲、Rx 受光は受信感度・リンクバジェットと突き合わせる。
  • Tx − Rx = リンク損失(dB) が本当の診断値。
  • メータの波長を必ず合わせるSR=850・LR=1310・ER/ZR=1550nm)。 OPM は「モード」でなく「波長」で考える。
  • 単位は dBm と µW(Brocade は µW)。1000µW=0dBm。換算は dBm ⇄ µW 変換ツールで。
測り方・単位の読み方・挿入損失の測定手順を詳しく
06STEP 2

清掃 → ケーブル減衰チェック → VFL

自分の Tx は正常なのに対向の Rx だけ低い——このときの最頻原因は端面の汚れです。次の順で潰します。

① まず清掃(inspect → clean → inspect)

見ずに闇雲に拭かない/拭いた後も確認。抜いたら戻す前に必ず清掃——汚れたまま挿すと メータやポートに汚染が移ります。これだけで直ることが多い。

清掃対象道具
LC・MU(プラグ+アダプタ内)NTT-AT NEOCLEAN-E11.25mm
SC・FC(プラグ+アダプタ内)NTT-AT NEOCLEAN-E22.5mm
プラグ端面の反復清掃光ファイバークリーニングボックスLC・SC 兼用
NEOCLEAN-E はペン型の端面クリーナ。付属キャップでプラグ(オス)も、挿入でアダプタ内(メス)も清掃できる。アダプタ奥に届くのはスティック型のみ。

※ 道具名のリンクは Amazon アソシエイトを含み、購入で当サイトに収益が入る場合があります。

② 清掃で直らなければケーブル自体を疑う

  • 区間の減衰(dB)を実測単体光源(OLS)+OPM でそのケーブル区間の損失を測り、 リンクバジェット超過なら不良・急曲げ・長すぎ(測り方は下の「さらに詳しく」へ)。
  • 損傷箇所を可視化VFL(650nm 赤色光)を消光した(暗)ファイバに通すと、破断・急曲げ・不良/汚れコネクタで光が漏れて赤く見える(露出配線・〜3〜5km 向き)。

VFL はケーブルの「対向先」特定にも使える

複数の光ケーブルでどれがどこへ繋がるか分からないとき、片端の暗芯に VFL を入れ、対向端で赤く光る1本を探せば対向先を特定できます(トレース)。必ず暗芯(未使用・未接続)に対して行い、稼働中や機器に挿さった芯には入れないこと。

安全

距離は数値では出ない(= OTDR の領域)。稼働中ファイバや VFL の光を直接覗かない(特に 1550nm は不可視で危険)。端面を顕微鏡で見るのは消光中のものだけ。
単体光源(OLS)+OPM でのケーブル減衰チェック手順を詳しく
07STEP 3

DOM×OPM 判断マトリックス — 原因を当てる

STEP 0(機器コマンド=DOM)と STEP 1(OPM)の結果を、1 方向(A→B)について突き合わせます。行=A 側の送信(自 Tx)列=B 側の受信(対向 Rx)。交点が原因と次の手です。

自 Tx(送信)\ 対向 Rx(受信)対向 Rx 正常対向 Rx 低い対向 Rx 無光 / N/A
自 Tx 正常(範囲内)A→B は健全(無リンクなら下の『光以外』へ)A→B の経路損失 → STEP 2(清掃→減衰チェック)A→B の断線・抜け・芯違い・極性逆
自 Tx 低い/無光(通常あり得ない=DOM 誤差を疑い両端で再測)A の Tx 不良 → A の SFP 交換A の Tx 不良 → A の SFP 交換
反対方向(B→A)も同じ表で読む。Tx は機器DOM、Rx は機器DOM+OPM で裏取り。対向 Rx が過大(High-alarm)なら LR 近接の過入力 → 光アッテネータ(ATT)を挿入。

DOM と OPM の使い分け(食い違ったら?)

測定分かること信頼度・使いどころ
機器コマンド(DOM)自端の Tx/Rx・温度(両端を一度に・非破壊)簡易(±数dB)。傾向把握と方向の当たり付け
OPM(光パワーメータ)物理的な Rx 受光(区間切り分け/Tx は直結で測定)校正済みなら高精度。きわどい値の確定
DOM と OPM が食い違ったら校正済み OPM を優先。DOM は両端同時把握・非破壊の一次切り分けに使う。

「光以外」を疑うチェックリスト(光レベルは正常なのに無リンク)

  • SFP 種別/波長のミスマッチ(片側 SR・片側 LR 等)← 典型
  • Tx/Rx 極性の逆(新規パッチ・差し替え後)← VFL/検出器で追える
  • duplex/speed・ポート admin-down・L1 エラーカウンタ・VLAN/MTU/L2-L3 設定
  • DAC(メタル直結)なら光の話は無関係 = 別系統の切り分け
08機材

機材の選び方(早見)

「何を買えば足りるか」はやる仕事で決まります。短距離(DC 内・建物内・FTTH ドロップ)の障害復旧が主目的なら、DOM + OPM + VFL + 清掃キットで実務の 8〜9 割は片付きます。

機材役割いつ要る
ライブファイバ検出器活線/極性を即判定(数値なし)差す/覗く前の安全確認
OPM(光パワーメータ)受光/送信・損失(dB)の実測ほぼ常用
VFL(赤色光源)破断/曲げ/不良コネクタの可視化短距離の物理切り分け
OLTS(校正光源+OPM)挿入損失の Pass/Fail certify竣工・受入・成績書
OTDR障害点を「距離」で特定埋設/長距離。年数回ならレンタル
即対応の切り分けは OPM+VFL で十分。certify や距離特定が要るときだけ OLTS/OTDR(レンタル可)。
現場で必要な機能・E-200 でできること/できないことを詳しく
09

よくある質問

Q. リンクが上がらないのに光レベルは正常です。次に何を見ますか?
光以外を疑います。両端の SFP 種別/波長のミスマッチ(SR と LR の混在など)、Tx/Rx 極性の逆、duplex/speed/encoding、ポートの admin-down、L1 エラーカウンタ、VLAN/MTU/L2-L3 設定です。光レベルが規格内なら、SFP やケーブルを交換しても直りません。
Q. VFL(赤色光)で破断箇所の正確な距離はわかりますか?
距離は数値では出ません。VFL は 650nm の可視赤色光で、破断・急曲げ・不良コネクタの箇所で光が漏れて赤く光るため、露出した短距離(〜3〜5km、被覆が光を透す場合)なら『どこか』を目視特定できます。埋設・管路内・長距離での正確な距離特定は OTDR の役割です。

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